わくわく木版画

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啄木と漱石へのオマージュ木版画展:本郷三丁目立野画材店

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石川啄木さんへのオマージュ  「時代閉塞の現状を 奈何にせむ
                  秋に入りてことに斯く思ふかな」

東京は、文京区の本郷三丁目、といってもわからない人にはわからないね。

 

本郷三丁目」という地下鉄の駅を出て、東京大学へ通う道筋です。

あ、失礼! 通うって、わたしが通うわけではありません。

東大生や東京大学にお仕事のある方たちが……。

 

有名な東京大学の赤門に向かう途中に、立野画材店があります。

そこで木版画の展覧会をやっていました。

Satokoさんという方の展覧会です。

 

6裁といいますから、玄関ドアを6分の1に裁断した大きさ。

すべてそのサイズの白黒一色の木版画が、20点も展示されていました。

3月13日までの会期だそうです。2022ですね。

 

いやー、すばらしいです。

一見素人っぽい面もありますが、とにかく己が描きたいものを如何に表現しようかと、そればっかりを考えて制作したような作品ばかりです。

 

衒(てら)わず、真摯に描きたいから描く、彫りたいから彫る。

そんな作者の気持ちが、ドバーッと画面から溢れ出しています。

これって一番難しいことですよね。わたしは、そこに感嘆してしまいました。

 

そして、その気持ちを失わないまま、

彫り跡の表現効果をしっかりイメージし、

工夫しながら彫り進めてあります。

 

ここに掲げた「啄木の肖像」だけをみても、

どれだけイメージを転がしながら彫り進めていったかよくわかります。

 

それに、特別に技術的ではないのですが、

部分ごとの摺りにもかなり意識を集中して摺り上げてあるのです。

 

木版画は楽しい! 

そんな声も響かせながら、苦もなく彫り上げたかのような作品が

すべて夏目漱石の一節、石川啄木の一詩からのイメージ、

そしてオマージュとして表現されています。

 

 

おすすめでした。