木版はがき:花火
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梅雨が明けて、カーッと陽射しが照り付けると、すぐに花火の季節になる。なんのかんのと予報が騒ごうが、結局東京の梅雨は夏休み直前に明けるのである。だから、来週の土曜日はもう花火大会だ。隅田川の恒例の花火大会が来て、ぐずぐずと文句がてらに暑がっていた先日までとははっきり区分けされて、堂々と暑し、暑しと騒げるような気分になる。
市中は もののにほひや 夏の暮れ
あつしあつしと かどかどのこえ
(今、手元に資料がないので表記ともども
あやふやなまま書いておきます。後ほど
編集しなおします)
私は芭蕉連句のこの繋がりが好きだ。草いきれもなにもかもが一緒になって、ムワっと蒸し上げられたような空気感。あつしあつし、には、いろんな人間のさまざまな口調が飛び交うさまが想像されて、とてもリアルである。昔も今もない。
こういう状況が好きな人はあまりいないだろうとは思う。私は大好きだが。ただ、こういう状況を想像するだけで、私そんなのいやっ!というような人は私は好きじゃない。なんだか、何にも耐性がないみたいで、いやっ!という感情の無理性
な激しさの分だけ嫌いだな、そういう人。
十四、五年前は、隅田川の花火となると一週間前から席取りに忙しかった。桜橋のすぐ、下のほうの一等地で左右の橋の花火を交互に眺めた。遠花火というが、花火はやはり近場でド〜ンという音響を腹に感じながら眺めるのが一番楽しい。
さて、このはがき、ちょっと普通でないのは暗い背景になっていないことだと思う。版画で黒をしっかり出すのはかなり大変な作業だから、初めからそこを避けたデザインなのである。とは言うものの、暗い背景でなくともしっかり花火を感じてしまうところが面白い。ずるをした挙句の怪我の功名だったのだが、こういう手法はちょっと面白い手法だとも考えたりするのである。
*やっと、やっとホームページが形らしくなりました。60点の出来だけどリンクしときます。覗いてみてください。ページとブログをリンクして、という計画。何年がかりになったことか!