わくわく木版画

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木版はがき:ねこじゃらし


木版はがき「ねこじゃらし」    ホーム頁 http://kobo-yuu.kir.jp
150円

 梅雨時になると、更地になった空き地には、タンポポなどの地を這う植物を覆い隠すかのように背の高い植物が繁茂してくる。その中の一種が「ねこじゃらし」だ。図鑑などを見ると、「エノコログサ」と呼ぶのが正しいようだが、ふわふわの穂を揺らしながら、ねこをじゃらして遊ぶのに良く使われていたせいか、ねこじゃらしと呼ぶほうが分かりやすい。

 全国、至る所に生息している植物だから、珍しくともなんともない。しかし、そんなに無碍にされる植物だからこそ、じっくりと観察して欲しい。よくよく眺めると本当にスタイルの良い美しい草である。たおやかにしなる茎。品良くたるむほっそりした葉。むくむくした感じの柔らかそうな穂。ねこじゃらしの群生地を逆光で眺めるのはまことに美しい眺めだ。ひとつひとつの穂の周りが銀色に輝いて、そこに一陣の風が来て、さわさわと波打つ光景は、稲田の美とまた別種の銀波の世界です。

 下地に黄を置いて、葉の重ね色を出していますが、これはまた、光の演出効果も考えた配色なのです。この黄で、穂の周辺の輝きを出そうと工夫したのですが、その効果を感得していただけるかどうか---。
 こんな小さな画像で、そんなことまで分かるか! という御仁は、ちょっと突っ掛けを履いて外へ出てみてください。今の季節なら、空き地・道端・公園の隅、土のあるところなら、たいていのところで実物に出会えるはず。本物に触れて、言わんとするところをご了解願いたし。